6年ぶりのフィリピンスタディツアー、実施報告

 2019年以来約6年ぶりとなるフィリピンスタディツアーを、3月24日から28日の日程で、参加者・スタッフ合わせて5名で実施した。 参加者の感想動画は、このページの最後に載せている。

<1日目>

出発前の関西国際空港で集合写真

 関西国際空港に12時に集合。簡単なミーティングを行い、チェックインに向かった。手荷物検査、出国手続きと順調に進み、フライト。マニラ空港には18時15分頃到着。入国審査はすぐにパスし、19時頃にKPAC現地オフィス代表のハリエットさんと通訳兼現地コーディネーターの渡辺尚美さんと合流して、バンで夕食に向かった。道中、車、バイクなどが入り乱れて走っている様子に参加者は驚いていた。

 フィリピンに古くからあるポピュラーなレストランで、フィリピン料理の夕食を頂きながら自己紹介。ハリエットさんから金光教との出会いについても聞かせていただき、KPACの37年の活動の歴史を感じた。 夕食後、ホテルに行きチェックイン。明日の時間の確認をして、解散とした。

レストラン「Aristocrat」
自己紹介
机に並んだフィリピン料理

<2日目>

 朝7時にホテルで朝食を頂き、8時50分にロビーに集合、KPACインフォメーション・オフィス(以降「IO」。説明ページはこちら)へ車で移動。ビルの一室のオフィスにハリエット、ジャック、ダフネの3名が迎え入れてくれ、そこでスライドを交えてフィリピンの教育事情と問題等、IOの活動内容についての説明を受けた。

朝食バイキング
IOの代表のハリエットさん(左)と
通訳兼コーディネーターの渡辺尚美さん(右)
IO事務所で集合写真

 その後、車でIOが運営するナボタスの保育所へ。車を降りて、道で雑貨や総菜を売るお店が並ぶ細い路地を進んでいくと、一部屋の保育施設がある。子ども達は11時で帰っており、到着した時には子どもはいなかったが、壁にはアルファベット表などが一面に貼られていた。そこで教師をしているリサ先生からお話を伺った。

ナボタスの路地
路地の様子
路地の様子
保育所に通う家族がしているお店
ナボタスの保育所
ナボタスの保育所。教師のリサさん(左)

 それから、SRDコンコウキョウセンター(以降、「SRD」。説明ページはこちら)に移動。そこではスタッフの方々が昼食を準備して出迎えてくれた。デザートのマンゴーなども頂いていると、SRDの奨学生が4人、お母さん方と一緒に来て、歓迎のダンスを踊ってくれた。そして、スタッフからSRDの事業の説明を受けた。学費を払えない貧しい家庭の子どもは午後の部で無料で授業を受けていることや、生活習慣や規律についても子ども達にしっかりとした指導を施すSRDは地域や小学校からの評価が高いこと等を聞いた。説明中、軽食が出され、食事後すぐのタイミングに驚きながらも、ミリエンダというおやつを食べるフィリピンの食文化の一端を経験した。それから、奨学生の子ども達と折り紙で交流し、子ども達は完成した作品を持って嬉しそうにしていた。

SRDで昼食
デザートのマンゴーとスターアップル
SRD奨学生の子ども達
歓迎のダンスを披露してくれた
SRDの事業の紹介
トロン(バナナを春巻きの皮で包み揚げたおやつ)と揚げパンでミリエンダ
折り紙を教える参加者
折り紙で交流
上手に完成させた子ども達

 SRDを後にして、SRDに通う子どもの家庭に2軒お邪魔し、お話を伺った。その内の1家庭には、SRDの奨学金を受けながら難関私立大学を卒業した子がおり、お母さんはその子を誇りに思っているようだった。

 この日は最後にスモーキーマウンテンも視察する予定だったが、昨年12月に火事があった関係で立ち入り禁止になっていたので、ふもとから眺めた。またそこでゴミを分別する仕事をしている人々や、ゴミから出てきたものをきれいにして売っている店の様子を見て歩いた。

 盛りだくさんの内容を終え、ホテルで1時間ほど休憩し、中華レストランで夕食。レストランまでは、フィリピンの交通手段であるトライシクルを体験した。

家庭訪問
家庭訪問
かつてのスモーキーマウンテン
ゴミを分別してお金に換える人
レストランまでトライシクルで移動。4~5人乗れる。
中華料理店で夕食

<3日目>

 この日は、カンルンガン・サ・エルマ(以降「カンルンガン」。説明ページはこちら)の施設を訪れた。カンルンガンはストリートチルドレンの保護更生に取り組むNGOで、参加者はカンルンガンの活動について、朝食時から杉本理事長に質問を投げかけていた。朝9時にホテルを出発、郊外のラグナ州にあるガールズホームまで車で1時間余り移動した。のどかな雰囲気の街にあるガールズホームは、長期滞在の子のための施設で、訴訟中の子どももいるということで、写真の取り扱い等について入口で説明を受けた。

 やや緊張した面持ちで中に入ると、子ども達が待ってくれており、互いに一人ずつ自己紹介をした。日本語で自己紹介をする子もおり、名前と年齢、将来の夢を教えてくれた。そして歓迎のダンスを披露してくれ、さらに参加者もダンスに誘われ、驚きつつみんなでリズムに合わせて体を動かした。その後、午前のおやつを頂き、ガールズホームの施設を案内してもらった。

ガールズホーム
入口で説明を受ける様子
子ども達と向かい合い、互いに自己紹介
ミリエンダ(おやつ)でサンドイッチとゼリー、果物を頂く
施設見学
扉の壊れたトイレ

 それからマニラに戻り、「Jollibee」で昼食を頂いた後、カンルンガンの本部に併設されているlevel1(短期滞在施設)を訪れた。そこにはガールズホームの子たちより幼い男女15人がおり、みんな上手な日本語で自己紹介をしてくれた。そしてここでも一緒にダンスを踊り、クタクタになりながらも楽しい時間を過ごした。KPACと参加者1名からの子ども達へのお土産を手渡し、メッセージ交換をして別れを告げた。

フィリピンの国民的ファストフード店「Jollibee」
カンルンガンlevel1の入口
入ってすぐに置いてあった、ウェルカムボード
子ども達へプレゼントを手渡し
参加者が持って来た、日本でのカンルンガンのミュージカル公演(2001年)の時の写真を懐かしみながら見ていた。

 そして、この日最後のプログラムとして、ストリートで生活する家族の様子を見せていただいた。カンルンガンスタッフがコミュニティーに出向き、信頼関係を築きながら支援をしているとのこと。日用品や総菜の販売で生計を立てていること、ガスや炭で食事を作ることなどを教えてもらった。公立学校に通う子どものカバンも見せてくれた。

 ホテルに戻り、夕食はイタリアンレストランで頂いた。帰りにロビンソンというショッピングモールを軽く散策し、ホテルに戻って一日を終えた。

路上で暮らす家族の支援をしているスタッフ(右)
このコミュニティーをまとめているお父さん
ここで日用品を売っている

<4日目、5日目>

 この日はイントラムロスという、スペイン統治時代の16世紀に作られた地区の観光に行った。主にスペイン、アメリカ、日本に占領されてきた歴史を学びつつ、サンチャゴ要塞、マニラ大聖堂、サンアグスチン教会を巡った。途中で、ここまでのツアーの感想を1~3分で発表してもらった(その動画はこのページの最後に掲載)。

当時倉庫や兵舎として使われていた建物
サンチャゴ要塞入口
第二次世界大戦時の記録展示
マニラ大聖堂
マニラ大聖堂近くのモニュメント。日本軍と連合軍との戦いで犠牲となった10万人以上のマニラ市民を弔い、市街戦に巻き込まれた市民の悲しみを象徴する。
サンアグスチン教会。フィリピン最古の教会で、世界遺産に登録されている。

 スペイン料理レストランで昼食を頂いた後、帰国時に必要となるサイトへの情報入力をそれぞれで行い、午後は「モール・オブ・アジア」というアジアで3番目に大きいショッピングモールへ。お土産等を購入し、カフェでフィリピンで代表的なかき氷デザートのハロハロを頂いた。時間が少し余ったので、ツアー中何度か通過したホワイトビーチに行った。そこは、以前はゴミが大量に漂着する浜だったそうだが、今は真っ白い砂のきれいな場所になっていた。

 夕食は「ハーバービューレストラン」で、IOのスタッフのみなさんやドライバーとも一緒にいただいた。ホテルに戻り、通訳の渡辺さんやハリエットさんたちと名残惜しさを感じつつ別れを告げて、解散。翌朝5時30分に空港に向けて出発ということで、みな荷物のパッキングを済ませ、就寝した。

昼食をスパニッシュレストランで
フィリピン土産が置いてあるお店
ホワイトビーチ
ホワイトビーチにて
海に突き出した桟橋の上のお店
「ハーバービューレストラン」
レストランから見えるマニラの夜景

 翌朝はみな時間に余裕をもってチェックアウトを済ませた。ロビーで車を待っていると、ハリエットさんたちIOスタッフも来て、一緒に空港まで行って見送ってくれた。チェックイン、出国手続きを済ませ、飛行機に搭乗した。フライトは順調で、予定より若干早く到着。日本への入国手続きも問題なくでき、理事長から一言挨拶を頂き解散した。

 期間中、体調不良者がでることなく、予定していた内容も概ね実施でき、ありがたいことだった。

 以下に、参加者の感想動画を掲載する。